ICT技術の急降下

 読売新聞のサイトを見たら、「冷蔵庫の温度計の前にWEBカメラをつけ、温度が一定以上になると自動メール送信をする」というシステム(?)が紹介されていました。「それまで目視だったのに比べ、大幅に負担が軽減される」などと書かれていました。
 自分は2012年春まで、企業で業務システムの仕事をしていました。
 要件定義をしたり、テストをしたり、使用方法を説明するなどしていました。
 プログラムを組んだ経験も、温度管理に携わった経験もありませんが、システム屋として飯を食っていたわけです。
 それだけに、この仕組を見て、さらにそれを大新聞が真面目に記事にしていたのを見たのはかなり呆れました。
 自分がシステム屋だった頃は、温度を管理するなら、その機械の温度管理システムと連動する仕組みを作る、というのが常識以前でした。
 こんな冗談みたいな「システム」を作ること自体が信じられない話でした。
 もっとも、この10年ほど、ICT技術者の給与は下がる一方です。給料を払わねば、能力のある人は、その業界に来ないでしょう。
 しかし日本は、国策としてこの「ICT業界のリストラ」を推進してきました。
 また、大手ICT企業も、デジタル公共事業とリストラで儲ける「ビジネスモデル」で技術力の向上がありませんでした。
 その結果、大銀行がありえないシステム障害を起こし、大規模情報漏えいも頻発するようになったわけです。
 それらのICT技術凋落を象徴するような「システム」と「報道」だと思いました。