「達観」と無知

 世の中のすべてが分かっているような物言いがいます。
 その象徴とも言えるのは、新聞で自民党議員が不祥事を起こしたときに「市民の声」として出てくる「与党も野党も政治家なんてみな同じ」という言説です。
 しかし、この発言、すべてを分かっているようで、実は何もわかっていません。
 この言説が事実ならば、日本で政治にたずさわっている人はすべてダメなわけです。ならば、この発言をした人の将来はお先真っ暗なこと間違いないはずなのですが、そのような危機感はありません。
 つまり、現実が見えていないのです。したがって、「達観」しているようで、実は何も見えてないという無知をさらけ出しているわけです。
 もちろん、これは、そのような「無知発言」を「市民の声」として掲載する新聞記者や新聞社にも言えることです。
 いずれにせよ、このような世の中の事を達観しているような発言を見たときは、それの基になる知性がどのようなものなのか、考えてみるのがいいと思っています。