支離滅裂な「仮定」

 ロシアのウクライナ侵略を受けて、維新などの政党やその支持者などで、「もしウクライナに憲法9条があったら侵略は防げたか」などという言説が流行っています。
 もちろんその目的は「憲法9条では平和は守れない。だから改憲して軍拡だ」と主張したいためです。
 しかし、この主張には無理がありすぎます。
 仮に、ウクライナが軍事力でロシアの侵略を一蹴し、一人の死傷者も出さなかった、という結果だとしたら、まだこの言説を主張する価値はあるかもしれません。
 しかし、現に侵略は行われ、多くの死傷者が出ています。
 その時点で、ウクライナの「交戦権を放棄していない憲法」では侵略が防げなかったわけです。
 にも関わらず、「もしウクライナに憲法9条があったら侵略は防げたか」という問いを立てることに何ら意味はありません。
 論理的思考力がないから、こんな戯言を公言できるのでしょうね。
 なお、現実を見れば、戦争のできる憲法を持っていた大日本帝国は、自らの侵略に対するカウンターとは言え、アメリカやソ連の侵略を受けて領土を奪われました。
 それに対し、9条のある日本国憲法のもとでは、侵略を受けていません。
 この現実を見れば、少なくとも日本において、侵略を受けないためにはどのような憲法を持てばいいかは明白です。
 もちろん、彼らにはそのような事を理解する思考力はないのでしょうが…。