「日本人選手」の定義

 東京ヤクルトスワローズの村上選手がシーズン56号本塁打を放ちました。
 中継したTVは「日本人選手最多ホームランの新記録」というテロップを出していました。
 しかしながら、これまで55本の記録を持っていた王貞治選手(当時・現福岡ソフトバンクホークス会長)の国籍は当時も今も中華民国です。
 それゆえ、高校時代には甲子園で優勝しながら、国体(国民体育大会)には出場できなかった、という逸話もあるほどです。
 その王さんの記録を越えたから「日本人最多」とするのは無理があります。
 それもあって、少なからぬマスコミは「日本選手」と書いています。
 これだと間違いではないのでしょうが、そもそも「日本選手」とは何なのでしょうか。
 「外国人枠」にあてはまらない、という意味でしたら、60本というNPB最多本塁打記録の持ち主であるバレンティン元選手も、FA権を獲得して「外国人枠」から外れています。
 それは「日本選手」ではないのでしょうか。
 こうやって考えれば考えるほど、「日本人選手」だの「日本選手」だのと言った枠組みを作るのが無理であることがわかります。

 一方、大リーグでの年間安打記録はイチロー選手の262本安打ですが。今後もし、アメリカ国籍の選手が261本安打を放ったら、「アメリカ人選手最多記録」などとなるとは思えません。
 スポーツは人種や国籍で行うものではありません。
 今回の村上選手の記録については、普通に「歴代単独2位のシーズン56本塁打」とすべきです。それなら何の矛盾も生じません。