人を呪わば穴二つ

 40年ほど前、高齢者の医療費無料をマスコミが叩いていました。
 無料なので、病院が老人サロンになっている、などという「記事」を流した新聞社もありました。
 それらのキャンペーンが功を奏して、高齢者の医療費は有料になりました。同時に、現役世代の医療費も、かつての一割負担から三割まで引き上げられました。
 そして今年から、75歳以上の医療費は一割負担から二割負担になります。
 40年前に、その煽り記事を真に受けて、「高齢者の医療費ゼロはおかしい」などと賛同していた人も、その被害を受けたわけです。
 文字通り「人を呪わば穴二つ」という結果になったわけです。
 そして今でも「シルバー民主主義」などと称して、自民党やマスコミは、高齢者をもっと冷遇しろと煽っています。
 もちろん、それを真に受けて高齢者冷遇に賛成すると、自分が高齢者になったとき、さらに引き下げられた扱いを受けるようになること、間違いありません。
 「世代間格差」を煽る言説に賛成すると、必ず将来の自分に跳ね返ってくる、というのがここ数十年の日本で起きている現実なのです。