引き際の難しさ

 プロ野球の松坂大輔投手が引退し、そのセレモニーが大々的に報じられました。
 引退と言っても、古巣の埼玉に戻ったこの2年は一軍登板機会がありませでした。実質的には引退していたようなものです。
 と言うより、2015年に日本球界に復帰してから6年間で一軍で勝利できたのは、ドラゴンズ時代の2018年に6勝した年だけです。
 この年にカムバック賞を獲得したのですが、それ以降3年間、一軍勝利のないまま引退したわけです。
 2年前に引退した岩隈久志投手も、最後に所属した読売で2年間一軍登板せず、その前の年も大リーグで0勝でしたが、さらにその前年は16勝と活躍しています。
 それと比べても、時代を築いた選手としてはあまりにも寂しい選手生活晩年でした。
 日本で活躍していた時代は、絶対的なエースでしたし、移籍した大リーグでは一年目15勝、2年目18勝と野茂投手を上回る活躍をしていました。
 この時点では、まさかこんな選手生活の終わり方をするとは夢にも思いませんでした。
 ずっと日本にいれば200勝していたのでは、とも思いますが、大リーグで18勝した事を考えると、挑戦が正しかった事は明白です。
 引き際というものの難しさを痛感させられました。
 自分の仕事も、定年退職という概念はありません。引き際は自分で決めざるをえません。
 それだけに、無理をすれば周りに多大な迷惑をかけることになってしまいます。
 自らの限界を知るというのは、これだけの大投手でも難しかったのだな、と思うと同時に、自分にそれができるのだろうか、と自問させられました。