日本独自の技術?

 今回の五輪の売りに「持続可能な社会(SDGs)」への対応があったそうです。
 その宣伝のために、大会組織委員会の持続可能性部長が記者会見をし、「紙皿をリサイクルして作ったトイレットペーパー」を披露した、という記事が東京新聞に載っていました。
 記事には「使用後の紙皿はソースや油で汚れているが、日本独自の技術で汚れを落としてトイレットペーパーに再利用しているという」書かれていました。
 どうやら、組織委の発表をそのまま記事にしたようです。裏を取った形跡はありません。
 非常にツッコミどころの多い記事だと思いました。
 まず、汚れを落としたところで、紙皿がトイレットペーパーになるのか、という事です。
 公益財団法人紙リサイクルセンターのサイトを見ると、リサイクルできない紙製品の中に、紙皿が明記されています。千葉市をはじめ、いくつかの役所のサイトにも同様の事が書いてありました。
 その紙皿を、どうやってトイレットペーパーにしたのでしょうか。これも「日本独自の技術」で五輪にあわせて開発したのでしょうか。
 そうなると今度は、「日本独自の技術で紙皿の汚れを落とした」というのも、極めて胡散臭くなります。
 一般的にリサイクルが受け付けられていない、紙皿を洗う技術など開発する研究所や企業などあるのでしょうか。
 こうなってくると、その会見で出てきたトイレットペーパーが本当に紙皿をリサイクルしたものなのか、疑わざるを得ません。
 ご存知の通り、この東京五輪は、嘘のオンパレードで誘致しました。発表時、真夏の東京はスポーツに最適な気候で、施設は既存のを流用するので金はかからず、福島の汚染水はアンダーコントロール、と招致委や政府・東京都は嘘八百を言い募っていました。
 そうなると、この「日本独自の技術」とやらも、組織委による「恥も外聞もなく、平気で嘘をつくという『日本独自の技術』」なのでは、と思わざるをえません。
 新聞記者も、少しは違和感くらい持たないものだろうか、と呆れました。
 まあ、そのような荒唐無稽な「大本営発表」を垂れ流すのが、「日本商業マスコミの独自の技術」であることは、76年前から有名です。
 それだけに、仕方ないのかおしれませんが…。