訪中した川口外相が、中国で「最近、愛国主義的な論調が取り上げられている。日中関係に影響を与えているのではないか」と述べ、「愛国主義」台頭に伴う反日世論の高まりに懸念を表明したそうです。その一方で、再三批判されている小泉首相の靖国参拝については、今後も戦争のない平和と発展への願いを込めて行っているもので、小泉首相の気持ちを分かってほしいと、従来の日本政府の主張を繰り返しました。(関連ニュース一覧)
愛国心に対する懸念は基本的に賛成です。どの国の人だろうと、自分の国さえよければいい、という偏狭な「愛国心」を持つのは、国際協調や世界平和に対しては、百害あって一利なしでしょう。そういう意味では外相の懸念は正しいと思います。ただ、ここで外相が筋の通った発言をしても、中国の「愛国者」は、「また日本の高官があつかましい事を言っている」くらいにしか思わないでしょう。
自らの主張の正しさを証明するためにも、ぜひ「槐よりはじめよ」の精神で、この春に東京都で問題になった「『愛国主義』台頭」に対して、何らかの方策を取るよう努力してほしいものです。少なくともあの「愛国主義」台頭を指示している知事の発言は、中国の「愛国者」の台頭に劣るとも勝らず、「日中関係に影響を与えている」わけですから。
そのような姿勢を見せれば、先方も自国の「愛国者」対策を考えるようになるかもしれません。
あと、「靖国擁護発言」ですが、よくもまあ鸚鵡みたいに、同じ事ばかり言えるものです。実際に軍隊を侵略戦争の援助のために派兵し、さらに憲法改悪発言を繰り返している人間がかつての戦争を賛美する神社に通いつづける行為を、「戦争のない平和(中略)への願いを込めて」と言うのは、白々しいとか厚かましいという水準を通り越しています。
かつて「同じウソでも何度でも言いつづければ大衆はだませる」みたいな事を言った独裁者がいましたが、いくら「同じウソ」でも、ここまでそらぞらしければ、かつての侵略被害国はもちろん、自国民すらだませないと思うのですが(※靖国参拝に賛成している人々は、たいていかつての侵略を正当化し、再軍国化にも賛成しているわけですから、「戦争のない平和な」というウソに「だまされて」いるとは言えません)。