3・著作権違反がもたらすもの
2000/01/30

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 さて、最初に書いたように著作権違反をする理由のなかで重大な要因を占めるものの一つに「どうせバレないから」というものがある。しかし、現実にはバレてしまい、多大な報いを受けた実例はすでに存在する。
 ごく最近では、ある環境調査会社が、長年にわたって組織的な不正使用を繰り返したことが判明したケースがある。この会社ではわざわざ不正使用をシステム化していた。各部署がパソコンを買った時は、情報システム部門に納入し、そこで不正インストールを行ってから各部署に配布していたのである。
 ソフトウェア会社の被害総額は1千万円にのぼったそうだ。ソフトウェア会社は、正規の料金に加え、不正使用の迷惑料として、プラス1千万円を請求した。この時点でおとなしく従っていれば、まだよかったのだろうが、その会社は「正規の使用料金は支払うが、迷惑料のほうは支払わない、という対応をしたらしい。組織だって不正インストールを行っているくらいだから、自分たちのやっている事がどのくらい違法性があるか自覚していなかったのだろう。
 その結果裁判になって、当然のごとく環境調査会社は敗れた。さらに「不正使用をしている会社」として名前まで出てしまった。このことは、今後の業務に多大な悪影響をおよぼすだろう。
 これがもし、「出張などの移動時でのキセル乗車」や「事務用品を文具屋から万引きする」という行為だったら、このような事にならなかっただろう。やりはじめの頃は「社内でコンピュータに詳しい人間がやっているのだから大丈夫だ」という心理から「コンピュータのソフトはこのような使い方をするのが普通」という「常識」が生成されてしまったのだろう。
 もちろん、ソフトウェア製作会社にはそのような論理に付き合う必要がないので、上記のような結果となってしまったのだ。

 今後も、コンピュータの普及していく。そして、利用者が増えるにしたがい、不正使用も増えるのだろう。そしてそれにあわせ、ソフトウェア製作会社の対策も進歩していくだろう。
 そしていつかは「ソフトウェアの不正使用は窃盗とそう違いのないこと」という事が社会常識になる日も来るだろう。できれば、「ソフトウェア製作会社のチェック体制の強化」によるものではなく、「利用者の意識の向上」によってそのような社会常識が実現してほしいものである。

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