2・著作権違反の蔓延と違反者の心理
2000/01/04

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 困ったことに、「自分の買った、もしくは正しくない手段で入手したアプリを他人のパソコンにインストールする人」の心理状態というのは、一見すると極めて「善意的」なのである。
 「このアプリケーションは便利だ。だから友人にも使わせてあげよう」という心理である。また、企業レベルでも「このアプリケーションは使い勝手がいい。だから他の人のマシンにもインストールすれば、業務効率と情報の共有が進む」という考えであろう。
 そして、不正インストールをされた人がパソコンを習得すると、今度は他人のマシンに不正インストールをするのである。こうなるとネズミ講みたいなもので、一つの違法行為が、無数の違法行為を増殖させる事になってしまうわけだ。
 冒頭に書いたように、不正インストールを行う人の心理は「善意」みたいなものであろう。しかし、その表面的な「善意」の仮面の一枚下には非常に不遜かつ無責任な心理が存在しているのである。
 アプリケーションの販売・配布に関する権利はそのアプリケーションの著作権を有する団体・個人が有する権利である。
 その著作権の背景にはそのアプリケーションの開発のための多大な労力が存在しているわけだ。そのような事は少し考えれば解るはずにもかかわらず、あえて無視して勝手にインストールするのは、作者に対する極めて失礼な行為であろう。
 筆者の身近にもいくらか伝聞がある。たとえば、ある会社で地方の人が出張してきた。そして出張先のマシンに、自分の使っている表計算ソフトを勝手にインストールして、そのまま帰った。その人の建前は、「両事業所の情報の共有」だったのそうが、出張先のマシンには別の表計算ソフトがプリインストールされており、その二つの表計算ソフトはデータの互換が容易にできるのだ。
 結局この行為は「私はパソコンに詳しいのだ」という自己顕示欲の充足をするために、事情を知らないよその事業所で著作権違反行為をさせた上に、HDの容量を無意味に減らせただけでしかない。
 このように、不正インストールをする事はその行為自体の違法性もさることながら、使っている人にとってもなんら益をもたらさないものなのである。

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