10.ある家電系のメーカーサポート

2003/02/22

 前項で書いたように筆者の職場のパソコンはDELL製のものが多い。しかし、いろいろなしがらみもあり、それ以外のメーカーのパソコンも何台かある。その中の大手家電系メーカーであるH社のサポートに対して、直販系との比較という意味も込めて書いてみたい。
 最初にトラブルが発生したマシンは、いきなりある日立ち上がらなくなった。BIOSの設定画面には行くのだが、Windowsが立ち上がらないのだ。ただ、100%ダメというわけではなく、数回に1回は立ち上がる。ただし、作業をしているといつの間にかブラックアウトしてしまう。
 会社レベルのつきあいで買ったので、直販品であり、メーカーに連絡するよりない。e-mailサポートなどはないので、とりあえず説明書に書いてあったフリーダイヤルに電話する。自動応答で電話のボタンを押してサポート先を選ぶのだが、その案内を聞いていると、どうやら家庭向けから高度な業務向けまでなんでも扱うサポートセンターのようだ。
 そして、「法人でPCの故障」という番号を選んで押したのだが、全然つながらない。時間帯が悪かったのかと思って1時間おきくらいにかけてみたが、どの時間でもだめだ。
 その日はあきらめ、数日後にまたやってみるがやはりだめ。結局つながったのは、最初に電話をかけてから5日後くらいだった。
 ついにサポートを受けられたのだが、その応対はあまりにも悲しかった。全部で十数桁ある型番および症状を言わされたのだが、その結果は、「それはこちらで対応する」と別のフリーダイヤルを言われただけだった。

 そこで、早速かけてみた。今度はすぐつながった。再び十数桁の型番と症状を言う。しかし先方は「それだけでは原因が分からないから二つほど試してくれ」とのことだった。最初はまず「コントロールパネル→イベントビューワ」を見てくれ、と言われた。そこでのエラーメッセージを言えばそれを元に原因が分かる」との事だった。しかし、なぜかエラーメッセージは一番近くても数ヶ月前のもの。つまり現在発生している不具合は記録されていないようなのだ。
 次に言われたのはBIOSのアップデートだった。幸い、自宅のパソコンで経験があったので、すぐにできたが、経験のない人には非常にプレッシャーのかかる作業ではないだろうか。そしてアップデートしたBIOSでも、結果は同じだった。
 ここに来てついに先方も「ハードディスクの障害」という結論を出した。ではそこで引き取ってくれるのかと尋ねると、引き取るのは江東区の南砂町にある修理専門の関連会社だという。今度はフリーダイヤルでない番号を教わり、そこに電話して引き取り修理の手筈を整えた。

 もちろん、修理するかしないかは修理費によって異なる。前項で書いたように、修理費はヘタすると、パソコン1台が丸々買えるくらいにもなりかねないのだ。そこで、配送後に見積もりをFAXしてもらう事を記載した紙を同封してパソコンを送付した。あとは見積もりによって修理か買い替えかを決めるのみだ。
 しかし、その見積もりがなかなか来ない。1週間近くたち、さすがに不審に思って電話した。すると「実はこの故障は初期不良によるものでした。したがって無料で交換しました。3日以内に配送します」との事だった。有料を覚悟していたのがタダになったのだから、怒る気もなくなり、電話を切った。しかし、普通に考えればダダだろうとなんだろうと、見積もり依頼を受けた以上は、こちらから電話する前に連絡を入れるべきなのでは、と思った。
 いずれにせよ、「タダでなおった」という結果がよかったので、それまでのいきさつはさほど気にはならなかった。


 それから数ヵ月後、今度は同じH社製の別のパソコンの液晶モニタがおかしくなった。日常業務に支障をきたすわけではないのだが、画面に三本ほど黒い罫線みたいなのが入るのだ。一応、操作ボタンを押していじってみたが直らない。そこでまた電話をすることになった。
 前回の電話番号は控えてあるので、今度は最初からすぐつながるサポートフリーダイヤルにかけた。型番を言わされる事は容易に予想されるため、パソコン本体およびモニタに記載されている番号を全てメモしてから電話をした。
 最初に「モニタの異常」と言ったのに、まず十数桁の本体の型番を言わされる。そして次に「モニタも当社のですか?」と尋ねられる。「よその会社のモニタだったら何もそっちに電話するかよ」と思いながらも社名が刻印されている事と、モニタに記載された番号を言う。しかし、先方によるとそれは型番ではないとのことだ。
 何でも型番はモニタの裏側のカバーを開けた所にあるらしい。「隠していては型番の意味がないだろうに」と思いながら、一旦電話を切って型番を調べる。そころがこのカバーがまたえらく開けにくい。普通なら、何らかの出っ張りなんかがあり、それを押したり引いたりすれば開くとしたものだ。しかし、そのようなものはなく、数分間の悪戦苦闘の末、やっと開いた。カバーの中には型番を書いたシールが貼ってあるだけで、基盤などはない。型番を隠すために開けにくいカバーをつけたとしか思えない。
 やっとの思いで型番を調べ、再度電話する。最初に出た担当者の名前を忘れてしまったので、再度パソコンの型番を言わされ、続いてモニタの型番を言った。その結果受けた御託宣は「それならこちらの関連会社で承ります。江東区の南砂町と新宿と渋谷に事務所がありますが、どこがいいですか?」と尋ねられた。
 南砂町にパソコン本体とは別にモニタ専門の引き取り修理会社があるとは思えないから、おそらく前と同じ会社なのだろう。「しかし前回は南砂町だけだったが、渋谷と新宿にも窓口ができたとは進歩したな」などと思いつつ、「そうですね、ウチの会社は渋谷区ですから渋谷のを教えてください」と言う事で電話番号を教わった。
 そこで早速渋谷の事務所に電話する。すると、送り先をFAXするので、番号を教えてくれ、と言われ、数分後にFAXが来た。どうやら渋谷駅から並木橋のほうに5分くらい歩いたところのようだ。しかし、そのFAXには住所がない。マピオンから打ち出したのをそのままワードに貼り付けたような地図しかない。「まさか」と思って再度電話をすると、やはりそこは持ち込みのみ受付で、配送する場合は南砂町まで送らなければならない、と言われた。仕方がないので、また南砂町の連絡先をFAXで受け取る。
 ここで非常に気になるのだが、業務でモニタを修理するのに、事務所まで持ち込む人ってどのくらいいるのだろうか。極端な話、同じ渋谷駅前でもちょっと距離が離れていれば配送するのではないだろうか。それなのに、持ち込み専門の窓口を教えて、何の意味があるのだろうか。
 とにかく、結局また南砂町に電話することになった。本日3度目の「パソコンの型番十数桁・モニタの型番十数桁」を言い、モニタの異常を説明する。すると前回と違い、あっさりと「それは初期不良で無償修理です。ご都合のいい時に取りに参ります」という返答を受けた。前回のハードディスクの時に比べると格段の進歩である。もっとも、サポート体制が進歩したのか、今回のモニタの初期不良があまりにも有名すぎるものだったのかは謎だが。
 いずれにせよ、サポートの速度・利用者への気づかいも、DELLはもちろんのことエプソンダイレクトと比べても大差であることを身にしみて体感した。さらに言うと、購入時の価格も全くの同スペックを2社で買ったのだが、H社のほうが10万近く高かった。これでは、家電系が苦戦する中、DELLばかりが伸びるのも当然だ、とつくづく思った次第である。
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