3.架空請求メール体験談

2004/03/28

 昨日突然、職場の自分名義のメルアドに「重要」マークのついたメールが届いた。しかも、題名は「『私の業務用メルアド』様」という奇妙なものである。内容を見ようとしたら、開封確認を求められた。基本的に、よほど重大なメールでない限り、開封確認はしない事をしているので、「いいえ」を選択。内容を見ると、「五菱総業」なる所から発信された架空請求メールだった。(実際には、HTMLメールをテキスト表示するようにしているので、筆者の目に入ったのはテキスト文章だったが)。
 内容はあからさま過ぎる架空請求メールだが、それを分かっていて見ていても、ちょっと不安になるような文章だ。たとえば、「回答をいただけなければ、回収に来る事に同意したものとみなします」などというあたりは、「仮にこの『請求』が先方の勘違いだとしても、返信しないと回収屋が来るかもしれない。誤解を解くためにも返信すべきなのでは?」と思ってしまう。もちろん、先方の狙いは、そのような心理につけこんで返信させ、そのメールアドレスに何度も架空請求を送る事なのだろう。
 まあ、ここだけは、悪質な犯罪とはいえ、その「能力」を評価できる内容とも言える。しかし、その次の記載部分には、笑うよりなかった。
 それによると、私の業務用メルアドから、IPアドレスを割り出す事に成功しましたなどと、何か凄い事でもしたかのように書いてある。さらに、このまま入金確認が取れない場合は、引き続きIPアドレスから住所調査を行い押しかける、との事だ。
 おそらく、架空請求メールを作った輩も、「IPアドレス」の意味がよくわかっていないのだろう。メルアド一つに個人情報と一致する「IPアドレス」があるとでも思っているのだろうか。ちなみに、私の職場はサイトを持っているので、メルアドの@以下の部分の左に「www.」をつけてブラウザに打ち込めば、社名・所在地などは簡単に分かる。
 もちろん、でまかせなのは分かっているが、その文書から、「IPアドレスをもとに、JPNIC等を使って、懸命に住所を調べている姿」を想像して笑ってしまった。
 ただ、これを読んて、家や職場に押しかけられてしまうのでは、と誤解した人もいただろう。そういう意味ではやはり悪質と言えるだろう。

 いずれにせよ、貴重な「架空請求メール」だったので、家に転送し、嫁さんに見せて笑いのタネにした。なんでも、5万通もばらまかれたので、すでにネット上ではかなり話題になっていたようだ。配信したメール送信代行会社も、いち早くお詫びを掲載していた。その姿勢は評価できるが、ただ、やはり依頼者の身元確認などの管理が雑だったとの批判は受けざるをえないだろう。他のサイト・掲示板でも、関連する記事が多数掲載されていた。ちなみにメール本文にあった「債権管理番号・11765」は、全てのメールに共通していたようだ。
 このように、かなり稚拙な犯罪ではある。とはいえ、5万通も送信すれば、誤解して返信し、架空請求に対して支払ってしまう人もいるだろう。また、支払わないまでも、精神的に不安になった人も多数いるはずだ。このテの犯罪は、実際の「被害額」以上に、受信者に対する精神的被害も大きい。これは、「オレオレ詐欺」などにも言えることだ。
 これらの犯罪に対する刑罰は、そのような未然にすんだ被害者の精神的迷惑も考慮した懲役年数・罰金額にするべきだ、と改めて思った次第である。また、行政側も、本当は発生比率が増えているわけでもない「外国人犯罪取締」などに無駄に血道を挙げず、このような悪質かつ迷惑度高い犯罪に対する啓発・取締に予算を費やしてほしいものである。
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