プロ野球合併問題

歪みすぎた体制

2004/07/28

 プロ野球で、不思議な事の一つに試合の中継体制がある。読売球団の試合は、10月以降の消化試合を除けば地上波で全試合中継する。一方、読売球団と関係ない試合の中継は、地上波のVHFではほとんど行われない。土日のデーゲームなどはたまに中継を行うが、放映時間は1時間半〜2時間。NHK以外では延長はないから、最初から、途中の一部しか中継する気がない番組構成となっている。
 もっと不思議なのはラジオだ。首都圏では、平日の文化放送はライオンズ戦を中継するが、他の局は(週末の文化放送を含む)は一斉に読売戦を中継する。3〜4の放送局が、全く同じ試合を中継するわけである。首都圏には読売・ライオンズ以外に3球団があるし、タイガースのように首都圏のビジターのレフトスタンドを満員にするほどのファンのある球団もある。にも関わらず、それらのチームは読売戦、もしくは平日のライオンズと対戦する以外に放送はない。その一方で、同じ試合を複数局で放送しているのだ。
 この異常さは、特にシーズン終盤になると目立つ。パリーグはもちろんだし、セリーグも読売球団が優勝争いから外れると、いくら優勝争いが白熱しても、その試合は放映せずに、読売の消化試合を毎日流すという異常事態が発生するのだ。

 都内在住のタイガースファンだった筆者は、10代の頃、よくラジオでタイガース戦を聴いた。といっても、上記のとおり、首都圏でのタイガース戦の放送はない。ではどうやって聴いたかというと、関西の放送局のラジオを聞いていたのだ。周波数をぴったりにあわせると、雑音混じりながらタイガース戦が聴ける。しかし、それで安心はできない。適切な周波数は時間がたつと変わるのだ。聴こえにくくなるとまた周波数を調整する。これを試合中に何度もやっていた。野球を聴いているのか周波数をあわせているのかわかならい。
 しかし、これはタイガースが関西の人気球団だから辛うじて聴けたわけである。しかし、これが他の球団だったらそれすらできないわけだ。どのチームのファンになっても、そのチームの試合を見たり聴いたりする機会は、読売戦の時にしかない。さらにパリーグの球団だとしたら、TVで見る機会は年に数日、ラジオですら平日のライオンズ戦のみなのだ。
 せっかく12もの球団が2リーグに分かれて試合をしているのに、ファンがTV・ラジオを通して観戦する機会は極めて限定されるのだ。これだと、せっかくプロ野球に関心を持っても、読売的な野球が好みでなかったり、日テレに代表される「ひいき放送」に  その一方、読売の試合は成績に関係なくほぼ全試合を地上波のVHFのテレビと3〜4のラジオ局が流すのだ。しかも、それにより、開催球団には多額の放映権料が払われる。もちろん、チームの成績とは一切関係ない。