WPC EXPO99見物記
 99年9月初旬に行われた「アジア最大のPC展示会」の見物記です。

1.行く前
2.CG関係
3.???な展示
4.全体的な感想

 
1.行く前

 毎年秋に幕張メッセで行われているパソコン関係の展示会「WPC EXPO」が、今年も行われた。昨年も行こうかと考えていたのだが、仕事関係で大事件が発生し、それどころではなくなってしまった。
 今年は、平穏無事に9月を迎えることができたので、一年越しの念願が叶って行くことができた。
 まず、主催の日経BP社のページで事前登録を行った。この会社の提供する情報関連の記事は質量ともに豊富で、雑誌・メールマガジンとも重宝している。PC EXPOにおいても、事前情報を大量に提供している。
 そこで、送られてきたメールはもちろん、関連したWebサイトに目を通したりもした。しかし、展示が質量ともに多すぎる事もあり、結局、興味ある展示物や企業を絞り込む事ができないまま、当日をむかえる破目になった。
 これだけ情報化が進んだ現在においては、「情報を得ること」だけでは意味がない。「得た情報から必要なものを整理すること」が重要なのである、という事を改めて深く認識させられた。
 
 
2.CG関係

 当日は嫁さんと職場の先輩と3人で会場に行った。嫁さんの場合、とりあえず用のある所はCG関係のみである。また、職場の先輩はあるイベントに出てくる芸能人を見にきただけなので、行く場所は一個所しかない。
 というわけで、まずお目当ての所で職場の先輩と別れ、あとは嫁さんとCG関係の所に行った。
 まず最初に行ったのはAdobeである。出たばかりのPhtoshop5.5のデモをやっていた。開場と同時に入ったこともあり、他に人がいなかったので、ゆっくりと5.5の新機能を聞くことができた。
 レタッチそのものについては筆者はよくわからなかった。だが、JPEG圧縮の際に、その画像をDLする時間をシミュレートする機能には感心した。実際、当ページで絵を載せる時の圧縮率はほとんど思いつきで決めてしまっている。しかし、見る人の事を考えれば、DLの時間などを考慮した上で圧縮率を決めるに越したことはない。ただし、これだけのために2万円弱を払ってアップグレードする気にはならなかったが…。

 次に行ったのはMetacreationsのブース。ここでは、3DキャラでアニメーションをさせるPoser4というアプリケーションのデモをやっていた。
 筆者は、バーチャファイター3をやめて以来、3DCGとは縁のない生活を送っていた。したがって、関心もあまりなかったのだが、これの機能には正直言って驚いた。
 とりあえず、用意されているテンプレートから人体の各パーツとポーズを選べば、自分で組み合わせた3Dキャラが、自分の選んだポーズをとってくれる。さらに、二つのポーズA・Bと、その二つのポーズの間の時間を設定すれば、設定した時間にあわせて、キャラがポーズAからBへと動くのだ。中間の動作は、コンピュータが設定してくれるのである。
 さらに、人体においては顔の細部まで簡単に設定できる。相当なカスタマイズが可能なのである。
 3Dアニメーションの知識がある方にとっては常識的な事なのだろうが、3D関係の知識の全くなかった筆者にとっては、「もうこんな所まで個人用ソフトでできるのか」と感嘆した。
 ただ、やはり顔・表情については、まだまだかな、と思った。いろいろと細かい設定はできても、顔そのものは人間らしさが出ていなかった。なんとなく、ネアンデルタール人を想起させられる所もあった。逆に言えば、「顔の表現」はこれからさらに進歩し、だんだんと現在の人間のようになっていく、という事なのだろう。
 いずれにせよ、最新のアプリケーションの能力を色々と知ることができ、大変面白かった。


 
 
3.???なイベント

 いろいろな会社の展示を見たのだが、別の意味で印象に残ったものが二つほどあったので紹介したい。
 まず朝二番目くらいに行ったCPUメーカーのI社。誰でも知っている有名企業だが、そこでのイベントは相当ゲゲボだった。
 まず、三人の女性がダンスをし、それにあわせて司会(?)の男性が出てくる。話す内容はひたすら「21世紀のインターネット時代における新技術はPentiumIIIによってのみ享受することができる」というのみである。
 「自社のCPU」でなく、PentiumIIIと強調するのは、AMD社のAthlonを意識しての事だ、というのはもちろん解る。しかし、Athlonとの差を具体的に主張せず(できず)に、ただひたすら「PentiumIIIでないとダメだ」などと主張するだけでは説得力がない。申し訳ないが、聞いているほうとしては、じゃあ、celeronやMobile PentiumIIではダメなんだなという感想を持たざるをえなかった。

 もう一個所はS社。ちょっと疲れたところに、空いている椅子と見栄えのいいメタリックな外見の液晶一体型パソコンがあったので、つい座ってしまった。するとコンパニオンにチラシを渡され、何をやるか知らないまま、「イベントの参加者」にされてしまった。
 ここの企画は、「コンパニオンの動画映像を撮影してパソコンに取り込み、それをWeb上にアップする実習」というものである。
 筆者は動画はもちろん、デジカメもほとんど扱った事はない。したがって、撮影から取り込みまでの一連の操作は面白かった。
 ただ、その作業も、その後の「Webページのテンプレートに画像を置き、制作者名の所を自分の名前にし、アップロードする」という作業も、客のやることはただひたすら「司会者の言う通りにする」というだけである。
 最後にはWeb上の「自分の作ったホームページ」を見ることができ、さらにそこのアドレスも教えてくれる。しかし、ほとんどの人にとって自分が何をしたか分からないまま作られた『自分のホームページ』などを見ても意味はないだろう。
 筆者にとって、このイベントの意義は、「うかつにパソコンの前の椅子に座るのはやめよう」という教訓を得たことだけだった。

 
 
4.全体的な感想

 結局、10時半の開場と同時に入って、15時ころに出た。約4時間半の間に一回りし、いくつかのイベントを見てきたのだが、少なくとも自分的には失敗した、という意識が強かった。
 展示物やイベントがつまらなかった、というのではない。むしろ逆である。見たもののほとんどが面白かったし、新開発されたものを色々と見ることができた。ただ、それを系統立ててみることができなかった自分に不満が残ったのだ。
 冒頭で述べたように、事前情報は充実していたし、それを調べる時間を取ることもできた。しかしながら、大量の情報を持て余してしまい、流し読む程度の事しかできなかった。結局、明確な目的を持って行くことができなかったのである。
 たとえば嫁さんなら「グラフィックソフト」、同行した職場の先輩なら「アイドルのイベント」と、それぞれ明確な目的があった。それに対し、「とりあえずいろいろと見てみよう」というスタンスの筆者にはそれがなかった。
 結局のところ、PCは情報機器である。最新の情報を収集・分析・活用するための道具というわけだ。それの最先端の展示会に行くのに、事前情報を軽視して明確な目的を持てなかったため、このような結果になってしまった、と言えよう。
 たいへん遺憾であるが、今回のWPC EXPO99における筆者にとっての最大の収穫は「どんな情報機器があった所で、使う人間がしっかりしていないと効果はない」というごく基本的な事であった。






PC EXPO 2002へ

PC EXPO 2001へ

「電算室」に戻る

トップページへ戻る