めぞん一刻(高橋留美子先生)

1998/08/23

掲載・ビッグコミックスピリッツ(1980年秋〜87年春)
 あるアパートに美人の管理人さんが着任して、そこの住人の一人と結婚するまでの話である。特別な主題や斬新な手法があるわけでない。主人公二人とまわりの人々の生活が描写されていくだけだ。
 この作品を初めて読んだのは12年前・高校二年の初秋だった。すでに大ヒットしていた作品だったが、「ラブコメ」という先入観があったので興味を持てなかったのだ。最初に読んだ時も特に印象には残らなかった。
 しかし、その後なんとなくスピリッツを読みつづけているうちに、段々とこの作品に惹かれていった。特に感動したり爆笑した場面があったわけではない。そして気づいたら単行本を揃えたくなっていた。当時の小遣いでは500円の本を十何冊揃えるのは難しい。そこで、昼食を抜いてその浮いた金で単行本を買った。
 そのまま連載終了まで「めぞん一刻」中心の生活を送っていた。といっても別に関連商品を買いあさったりしたわけではない。ただひたすら読み返しただけだ。読むたびに何か新たなものを得たような気持ちになれた。
 どこに惹かれたかを具体的に述べることはできない。確かに絵・話・人物の描写のいずれも超一級品である。しかしそれだけではない何かがこの作品には存在した。何度も読み返したのは、ひょっとしたらその「自分を惹きつけた何か」を探求したかったからなのかもしれない。
 


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