ブッシュ妄言録

2003/02/24

 日本を代表する「迷言・珍言」と言えば、前読売監督の長嶋茂雄氏がいる。しかし、アメリカにはそれを上回る「迷言・珍言」に加えて妄言をする男がいた。それが現アメリカ大統領・ジョージ=ブッシュだ。
 長嶋氏の発言は、天然的なものであり、無害な事が多い。たとえば、陸上競技場の観戦室から、遠く離れたフィールド上のカール=ルイス選手に対して「ヘイ、カール」と呼びかけた話がある。それに対し、ブッシュ氏はとあるステージでスティーヴィー=ワンダー氏に対し、立ち上がって「ハロー」と言った。しかし、ワンダー氏は気づかなかった。なぜんら彼は目が見えないからである。アメリカの音楽の事などほとんど知らない筆者ですら、氏が目が見えない事は知っている。ブッシュ氏だって知識がなかったわけではないだろう。それを忘れるほど興奮していたのかもしれないが、長嶋氏が天然ボケのみであるのに対し、ブッシュ氏の場合はボケに無神経さが加わっている。
 他にもカナダとメキシコでは国境紛争が起きた事がないといった、自国周辺の地理も知らないような発言もある。また、訪問先の国の首相の名前を本人の前で間違えたのを始め、言い間違え・基本的な事実誤認は山ほどある。
 とにかく知識が浅い上に知ったかぶった事をいいまくる。加えて相手の事を気遣う意思がない。そのためにとんでもなく失礼な迷言・珍言・妄言が大量に存在するのだ。
 また、彼の発言は、中学生向け英文法の授業に利用できるものが多い。Be動詞の単数・複数の混同などは日常茶飯事だし、主格と所有格の混同も少なくない。そのまま英文法のテストの「間違っている部分に下線を引いて訂正せよ」に使えるものばかりだ。
 日本人でも言葉の使い方がひどく「日本語になっていない」とけなされる人がたまにいるが、ブッシュ氏はそのアメリカ版なのだろうか。

 現在、ブッシュ大統領は、「イラクが大量殺人兵器を持っているから」という理由でイラクに攻撃をしようと躍起になっている。「大量殺人兵器を持ってのは悪だから、我が国の大量殺人兵器をもちいてその国の一般市民を大量虐殺する」という論法だ。確かに、この本に書いてあるような発言をする人間ならば、そのような狂った論法を用いてもおかしくはない。そういう意味では深く納得させられた。
 もっとも、そのような頭を持った人間が、「アメリカ大統領」などという事をやっているという現実は、シャレにならない恐怖でしかないのだが。
 さらに怖いのは、その「迷言・珍言・妄言」を真に受けているとしか思えない輩がいることだ。ブッシュ氏によるとアメリカと日本は150年もの間、素晴らしい同盟関係を結んでいます。らしい。本当だとしたらアメリカは、素晴らしい同盟国相手に平然と核兵器を2発も打ち込む国家、ということになる。しかし、どうも我が国にも「150年もの間、素晴らしい同盟関係を結んでいます」と思っているフシのある政治家・要人が少なくないようだ。

 なお、主な「迷言・珍言・妄言」は本書の製作者であるフガフガ・ラボ「GEORGE W BUSHISM」に掲載されているので、ぜひ参照していただきたい。ついでに余裕があったら本を購入して一読するとさらにいいと思う。


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