セミを看取る

 駅のベンチに座ろうとしたら、仰向けになって、足を動かしているセミがいました。
 自力で「寝返り」できなくなったようです。
 そこで、ひっくり返してあげたら、飛んだのですが、そのまま自販機にぶつかって、動かなくなりました。
 飛んだのは、最後の生命力をふりしぼってのことだったようです。
 暑い中、仰向けで足を動かしながら世を去るよりは、自ら飛んだあと、世を去ったほうが幸せだったのだろうか、などと思いました。
 もちろん、いずれは、自分の身にも巡ってくるわけです。
 そのとき、自分は最期に何をするのだろうか、などと亡くなったばかりのセミを見ながら考えたりもしました。