悪筆の効能

 自分は子どもの頃から非常に字が下手でした。
 色々な人に改善を促されましたが、字を上手にするよりもやりたい事が山程あったので、それらの勧めを全て無視してきました。
 そうこうしているうちに、ワープロ、さらにはパソコン・インターネットが普及し、字がいくら下手でも、問題なく、自分の考えを多くの人に伝える事ができる時代になりました。
 それらを早い時期から使いこなすようになったのも、悪筆ゆえという一面もあります。
 さらに、いまだに湧いてくる「手書きの効能」の類の主張が、全部的外れであることも即座に判断できる、という付随的効果もありました。
 そう考えると、この悪筆というのは、自分が先天的に得た、もっとも役立つ能力だったのかも、と思っています。